Q&A

知財業界 転職Q&A

4. 知財業界の待遇環境

Q4-1. 特許事務所の給与体系とは?

能力主義が多い?

特許事務所での職種別の給与は、経験など他の条件を考慮しなければ、弁理士>特許技術者>翻訳者>特許事務>一般事務というスタートが一般的かと思われます。 ただ、中核業務である明細書作成は、大きく個の能力に依存するため、月何件の明細書を作成できるか、翻訳できるかといった点を、給与評価に如実に反映させる事務所が多いようです。 企業に比べ、この歩合制のような明快な給与制度をとれる事が、業界内の転職活動が盛んな一因ではと感じております。転職先での人事制度が特殊なものでない限り、安定して明細書を書く能力さえあれば、相応の報酬を得ることが可能であるからです。

大規模事務所は、事情が変わってくる

これが組織構成のしっかりした、大規模な事務所になると状況は変わり、給与の平滑化が図られることとなります。例えば、調査・中間処理などに分業体制を採用すると、他の所員と協働する機会が増えます。そうすると、成果物を個の能力に、単純には帰着させられないという事で、給与を平滑化するのが妥当と考えられる訳です。 実際にどういった給与制度を採用しているか、HPなどで一般に公開されることは稀ですが、入所して初めて知るというのは危険です。詳細に関しましては、弊社、無料転職サポートにご相談下さいませ。

Q4-2. 特許事務所の福利厚生、しっかり整っているの?

弁理士試験休暇

転職希望者のカウンセリングをしておりますと、弁理士試験を優先して、転職活動を遅らせる方がいます。しかし、弁理士資格はあくまで実務経験がある上で意味をなす資格であることは、認識しておくべきです。 なぜなら、弁理士(特許技術者)の中核業務は明細書作成であり、弁理士試験の知識は明細書作成の際よりも、係争処理など、経験豊富な弁理士が関わるべき業務に於いて、より重要となるからです。

教育面に熱心な事務所も

また、事務所は個人で作業する時間が多いため、気分転換も兼ねて、所内で定期的に勉強会を開いたり、所外セミナー等の参加を勧めたりする事務所もあります。 こうした教育的な面は、所長の方針が如実に表れる部分であり、近年は、HPの情報を充実させる事務所も増えております。ただ一方で、教育制度だけを見て応募する方には未経験の方が多く、即戦力に繋がりにくいため、あえて非公開で求人を出す事務所もあります。

Q4-3. 特許技術者として優遇される資格・経験とは?

弁理士資格は実務+αの資格

事務所という響きに、企業とは違う環境を想像されるかと思いますが、基本的な福利厚生に関して、チェックすべき事項にほとんど相違はないかと思います。以下では、特筆すべき部分のみ解説致します。 まず休暇に関して、弁理士試験休暇を認める事務所があります。事務所により期間は異なり、論文試験前に10日から2週間程度であったり、短答試験前にも数日の休暇が与えられたりといった具合です。ただ内状は、有給を試験前にまとめて充てるケースが多いようです。

特許事務所は技術分野次第

平生の業務には、技術的素養が明細書作成には不可欠であり、ご自身の技術分野が、大きく選考結果を左右します。現在、求人案件が多いのは、電気(半導体)・機械といった、特許が細分化されていて出願数の多い分野であり、非公開の求人案件も豊富に存在します。 また内外・外内業務を取り扱う国際特許事務所に関しては、実務上の英語読解・作文力が重宝されております。TOEICは1つの評価指標として扱われる程度ですが、より多く選考に進みたい方は取得をお勧め致します。 尚、知財検定に関しては、特許事務所において評価されることは稀です。そもそも企業知財部向けの資格であるので、当然と言えるでしょう。

Q4-4. 事務員、翻訳者として優遇される資格・経験とは?

専門性の高い業務=実務経験の重要性

特許事務員に関しては、パソコンを使った事務処理能力など、一般の事務でも求められるスキルに加え、特許事務は一般事務に比べ、専門性の高い業務であるため、知財実務経験が何より重宝されます。 特に、中間処理や意匠・商標出願など幅広く経験されて、知的財産法制を広い視野から見渡せる方に対して、多くの非公開求人が弊社に届きます。 また、外国事務員の場合ですと、海外代理人とのコレポン業務(メール対応etc)が重要となりますので、ビジネス英語の能力・経験が重宝され、TOEICスコアの取得はほぼ必須と言えるでしょう。 一方、特許翻訳者に関しては、TOEICのようなビジネス英語力に限らず、特定の技術分野における技術英語の知識が重宝されます。特許翻訳は新しい技術の開発に伴い、新しい技術単語を造語するなど、一般の産業翻訳・技術翻訳にはない難しさがあるため、実務経験というハードルが大変高く、案件のほとんどは経験者向けです。

未経験でもチャンスはある

ただ、上記いずれも20代であれば、未経験可の案件があり、転職のチャンスはあります。知財業界への転職をお考えの方は、早めから準備されて、書類選考など進めていくべきです。 一方で、特許事務所で勤務されている事務員の方には、結婚後の再就職も考えているなど、その専門性を生かして長期的に働かれる方が多く、転職市場はさほど活気だっておりません。 未経験の方が転職するとなりますと、それだけ倍率は高い状況ということです。ただ、真剣に知財業界をお考えでしたら、私どもはサポートさせて頂きます。

Q4-5. 知財関連の勤務地は、どこが多いのですか?

大都市の一等地に集中

知的財産業界で働きたいが転勤は厳しいetc、勤務地に関しても、様々なご不安があることと思います。 特許事務所は、企業本社との交通の便が重要であるため、全国に2000以上ある特許事務所のうち、70%は関東圏内に集中しています。他の30%に関しても、大阪・名古屋といった本社の多い地域に立地し、地方の弁理士不足が問題視される状況でもあります。 また、特許という価値・責任の大きな財産を管理するため、大規模な事務所の多くが、クライアントへの訴求力を考えて、オフィスの設備・地代に相当の金額を投資し、立派な事務所を構えています。一方、所内では厳かに、明細書作成に集中するのが一般的で、賑やかなオフィスで勤務されてきた方は、しばしば驚かれます。

地方にも雇用はある

ただ、大規模な特許事務所の場合、ある技術分野の人員が支社に足りないなどとして、支社勤務を求められるケースはあります。 また、企業知財部に関しては、発明の技術内容を正確に把握するために、研究開発部と、頻繁に連絡を取り合う必要があるため、研究所勤務である場合と、本社勤務である場合があります。 いずれであっても、キャリア向けの採用情報を十分に開示していない事務所・企業もあり、HP上では勤務地が定かでないケースもあります。

Q4-6. 特許事務所の規模はどれぐらい?

小規模事務所ほど、独立に近づける

規模で以て、特許事務所を3つに分類しますと、個人経営に近い小規模な事務所が500ほど、所員100名以上の大規模な事務所が30ほど、その中間の事務所が2000以上あると言われております。 一般的に、小さな事務所は取引先の特許に広く関わるチャンスがあり、より広い技術分野の明細書作成に携わることとなります。教育に関しては所長の意向が強く反映されますが、業務の中で実践的な指導を受けて、早く成長することを望まれる方、将来は事務所経営を考え、所長のノウハウを積極的に吸収したい方にお勧めです。 一方で、大きな事務所は技術分野別に組織が構成されているため、自身の技術分野に専門特化して明細書を書くこととなります。勉強会など教育制度が充実している場合が多く、その反面、業務の裁量は小さな事務所に比べて狭まる傾向にあります。

HPが重要視されてこなかった業界?

ただ、実際に転職活動を始めると、事務所の人員規模など必要な情報がHPに十分でなく、一般応募するのが不安なこともあるかと思います。 特許事務所とクライアントは、長年の付き合いであることが多く、新規案件の獲得は、所長が直接営業に出掛けるなど、そもそもHPを充実させる必然性がなかったことが、近年まで、上記の問題を抱えてきた一因であるように感じます。 弊社、無料転職サポートでは、応募の際に必要と思われる情報を、積極的に事務所よりヒアリングしておりますので、ご相談下さいませ。

Q4-7. 弁理士は社会保険に加入できないことがあるの?

弁理士は、一本立ちした職業人?

弁理士は、国家資格で認められた士業です。「士」の語源は武士、つまり侍のように一本立ちした職業人を意味します。弁理士登録後、今までと雇用形態が変わってしまい、驚かれる方が多い理由はここに起因するように感じます。 「今までと雇用形態が変わる」分かりやすい例としては、大手事務所を始め、社会保険関係に個人加入させる事務所が多いことが挙げられるでしょう。個人加入と言いますと、どうしても気になるのは厚生年金の加入是非ですね。これに関しては、「弁理士厚生年金基金」がありますので、ご安心下さい。また、保険料など個人負担となると、確定申告が必要か気になることでしょう。多くの場合、年末調整として事務所にお任せできるようです。

独立の第一歩は、まず自己管理から

そもそも企業の開発経験者の多い業界のため、こうした職人的な、「士」の文化を大事にされてきたのかも知れません。将来的な独立・一本立ちまで考えて、福利厚生から自己管理能力を鍛えるか、あくまで労働者として万全の福利厚生を求めるか。弁理士の皆様には、こうした部分からキャリア設計は始まっているのかも知れませんね。こうした内情に関して、事務所HPから読み取れることは稀ですので、気になる方は無料転職サポートにご相談頂ければと思います。

Q4-8. 特許事務所、部署間の異動は可能ですか?

所内で異動希望を出したものの・・・

「国内案件に長く携わってきたが、英語スキルを磨くため、海外案件にも関わりたい。」「中間処理に特化してきたが、一から明細書を書いた方がやりがいがありそうだ。」・・・こうした希望が、事務所勤めの方であれば少なくないかと思います。ただ一般に、こうした分業体制を採っている大規模事務所では、部署異動の希望が通らないことも多いようです。

部署間の異動が難しい理由

事務所を経営する側に立って考えてみましょう。特許事務所のように専門的な業務=知識集約型の業務形態では、人件費が経費の大半を占めますね。そのため、所員には経験済みの業務範囲を確実にこなしてもらい、新たにかかる教育コストは抑えたいと思うのも仕方ありません。こうした理由から、所内異動はなかなか受け入れ難いため、実際に部署間の異動を円滑に進めている大規模事務所は、それだけの理念を貫いて制度を維持している、素晴らしい事務所であると言えます。

所員の成長の早い、小規模事務所

一方で、中小規模の事務所の場合、少ない所員で舞い込む全ての業務に対応せねばなりませんから、幅広い業務経験を積む必要があります。この場合、半ば必要に迫られての場合もありますが、部署間の異動は比較的スムーズです。近年、クライアント側はワンストップで幅広いサービスを提供するよう求めている傾向にありますので、ゆくゆくは中小規模の事務所で鍛練を積まれた方が、業界の求める人物像になっていくかも知れません。 現在の部署でスペシャリストとしてスキルを磨くべきか、部署異動・転職によって幅広い業務にあたるチャンスを掴むべきか、これに関しては、個人の適性に依る部分も多いかと思いますので、弊社、無料転職サポートまでご相談下さいませ。