Q&A
知財業界 転職Q&A
2. 知財業界でのキャリアステップ
Q2-1. 転職活動は、弁理士試験後で間に合う?
弁理士試験と転職活動
多くの会員の方から、弁理士試験の勉強で転職活動に手が回らないため、選考を受けるのは弁理士試験合格後にしたい、というご相談を受けます。 しかし、どの業界の転職であっても、まず重要視されるのは、即戦力として働けること、その業界での実務経験の多寡です。 こと知財業界においては、必要な知識が技術及び法律と多岐にわたり、高い専門性が要求されるため、実務経験の有無、その上で弁理士資格があれば尚可、という求人案件が多いのが実情です。
実務経験が重要、という本当の意味
ですので、弁理士試験に向けて勉強に集中されている方も、お時間の許す限り、選考を受けていくことをお勧め致します。 弁理士試験に受かったは良いものの、ご年齢と経験のバランス、技術分野などを考慮すると、紹介できる案件が少なくなるケースが残念ながら多く、転職カウンセリングの中で社会の厳しさを感じてます。 理系学部卒の弁護士がロースクールから多く輩出されることも鑑みると、弁理士の強みは、日々の業務の中で磨ける活きた知財法の知識、明細書作成能力ですので、まず実務経験を積むこと念頭に置いて下さい。
Q2-2. 知財業界への転職、その難しさの理由とは?
実務経験が重要
知財業界は他の業界に比べ、実務経験がより重要視されております。業務が技術及び法律に関わるため、大変に専門性が高く、社員教育にコストがかかることが一つの理由ですが、特許事務所に於いては、所長自ら人事を担っているケースが多く、面接に費やせる時間が少ないことも大きいようです。 同様の理由から、実際に会う人材を面接前に厳選するため、この業界の書類選考は、大変に厳しくなっております。一般応募での書類選考となりますと、より厳しい状況です。 弊社は、ほぼ全国の特許事務所とお付き合いしており、所長様に直接、会員の皆様をご推薦させて頂いております。
あまりに現実的な、実務経験の壁
一般的には、企業は3年から5年以上とより厳しい条件を要求し、特許事務所であれば、2年から3年以上を求める場合が多いようです。特許事務所の場合には、企業に比べ人事制度も緩やかですので、年数でなく「毎月○件の明細書が書ける方」といった求人もあります。 未経験の方の場合、上記の経験者向け案件のご推薦は難しくなるため、紹介できる案件はどうしても少なくなりますが、それでも未経験者の転職を成功させてきた実績が、弊社にはあります。それは、技術分野が事務所の持っている案件に一致している、高い英語力が業務に重宝される等というように、特許事務所側の求める人物像を、細かに把握しておるためです。
Q2-3. 特許事務所の報酬は、歩合制と聞きましたが?
明細書作成は個人プレー
特許事務所での明細書作成は、ほぼ個人プレーの産物であるため、業績が組織でなく個人に依存する割合が大きく、成果物の量・質も評価しやすいので、個人の業績評価がより客観的になされます。これが、特許事務所で歩合制の給与制度が採用され得る理由です。 同様の理由で、月に○件などと安定して明細書を書く能力があれば、転職先でも重宝され、相応の報酬を得ることが可能となります。クライアントに対しても、事務所の一員としてでなく、1人の弁理士として評価されるようになれば、独立の道も開けてきます。
大規模な事務所になると話は別
ただ、大規模な事務所になるほど、他の所員と協働する機会が増え、給与制度等が一般企業に近いものとなるため、勤務年数など他のファクターまで考慮して、総合的に給与が決定されるようになります。 上記の意味では、明瞭な人事考課がなされる特許事務所ですが、一方で、所長弁理士の経営権限が相対的に大きい事情から、所長の方針により、ご自身の評価が変わるケースも時にあります。 こうした特殊な事情は、事務所と普段より密に接していなければ、図り得ない面もありますので、興味を持たれた案件の詳細に関しては、弊社、無料転職サポートにてご相談頂けたらと思います。
Q2-4. 訴訟代理人への道とは?
付記弁理士
最近、業界では「付記弁理士」という言葉を頻繁に耳にします。付記弁理士とは、特定侵害訴訟の共同代理人となれる弁理士のことで、「付記」取得には、研修・試験をパスする必要があり、これには相当のお金・時間・労力が必要になります。 ところが、こうして「付記」を取得したからといって、全員が訴訟案件に携わることが出来る訳ではありません。企業知財部は、訴訟対応など委託していることが多いため、特許事務所を中心として解説します。
弁護士と弁理士は前提が違う
そもそも、定期的に仕事の来る出願代理と違い、侵害訴訟などは頻繁に生じるものでなく、訴訟に関われるかどうかはクライアント次第です。紛争処理が主業務である法律事務所に対し、特許事務所は、出願という手続き代行を生業とするため、これは当然のことと言えます。 また、いざ事務所に訴訟案件が舞い込んできても、知財関連訴訟は、その影響力・責任が莫大であるため、クライアントが経験豊富な弁理士に依頼するのは当然です。結局、付記を取得した弁理士のうちごく一部が、共同代理人として、訴訟業務に携わることとなります。 現在、付記弁理士向けの求人案件というものは、特許事務所でもほとんど存在しません。本気で訴訟業務に携わっていくためには、紛争処理の経験が豊富な特許事務所、法律事務所などで積極的に必要なスキルを磨いていく必要があります。
Q2-5. 知財業界で、国際的に活躍するためには?
知財業界は英語力が必須?
知財業界は、そもそも国際的なフィールドであると言えます。なぜなら、特許権・商標権など知財は流動性の高い「財産」であり、経済システムが世界と繋がった現代社会において、海外での権利取得・活用を抜きにしては考えられないからです。最近、再び話題に上がった中国の「青森」商標。何千億単位に膨れ上がる国際侵害訴訟の賠償金。ニュースでも、しばしば取り上げられるところです。 では、もう少し日々の業務レベルにまで落とし込んで、知財業界における「海外案件」について解説しましょう。 知財業界で海外案件と言った場合、主に国内→海外への出願業務(内外案件)、海外→国内の出願業務(外内案件)を指します。 一般的には、内外案件の方が外内より処理が難しいと言われています。それは内外の場合、外国の知財関連法・審査基準に関する知識、非論理的な日本語を論理的に表現し直す論理的思考能力など、外内には無い、多くのハードルがあるためです。 このため多くの知財部・特許事務所が、内外案件に関しては、海外の代理人に委託しています。ただ、内外案件を自前で扱う国内事務所も存在し、定期的に海外法の勉強会をして研鑽に励んでいます。
弁理士資格はグローバル?
ここまで書いたものの良く考えてみると、弁理士の試験範囲は国内法だけで、海外法は入っていません。ですから、弁理士資格を取得したからと言って、知財の専門家として、一人前になれたと思ってはいけません。 世界的に活躍・著名になられている弁理士の皆様は、いずれも上記のように海外法の勉強を積まれるだけでなく、訴訟代理「付記」を取得して、国際的な侵害訴訟の案件に携わるなど、精力的にスキルアップを図って、業務範囲を広げられています。 弁理士はグローバルな資格であると言われますが、これは弁理士資格を取得した後に、更なるスキルアップを積めば、という条件付きと言えます。
Q2-6. 弁理士業務を始めるには、登録が必要?
弁理士登録と義務研修
長い長い受験生生活を越えて、ついに弁理士試験に合格しました!ところが、合格後に弁理士会に登録しなければ、弁理士として業務に携わることができない規則があります。この登録・維持には費用がかかり、事務所により個人負担としている場合もあります。「士業人の独立意識」を尊重して、組織と弁理士の距離感を大切にしている事務所ほど、この傾向にあるようです。 また、弁理士登録のためには、12月以降に行われる新人研修及び修了検定の合格が要求されます。「士業の価値は、合格後の自己鍛練にある」とよく言われますが、こうした鍛練は合格直後から始まっている訳ですね。尚、日本弁理士会の義務研修以外にも多くの研修プログラムが、準民間のコミュニティにより開催されていますので、実務に何が必要とされているのか、見定める上でも積極的に受講されると良いかも知れません。
弁理士試験は登竜門ではない
弁理士資格を取得しても、働き先が見つからないケースはしばしばありますが、それは弁理士資格が企業・事務所の平生の実務に加えて、事務所経営など専権業務へのアクセスを可能と認めるタイプの資格だからです。実際、特許事務所で働いている方の多くが資格を持たない方ですが、平生の業務には何の支障もありません。 「弁理士資格は弁護士のような入門資格ではなく、あくまでも付加価値としての資格である」 こうした認識を持った上で、資格取得の知識を生かして、特許事務所で知財の権利化に携わるのか、知財ファンド・技術移転など未開拓の領域に挑戦するのか、キャリアプランを考えて頂きたいと思います。実際に求人案件を見ていくと、より具体的にキャリアをイメージできるかと思いますので、弊社、無料転職サポートまでご相談下さいませ。
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