セミナーレポート:現役企業人事と知財人材専門転職エージェントが語る! これからの知財人材における転職を活用したキャリア設計と、人事視点による書類選考・面接対策
公開日: 2023-11-21
2023年11月2日、知財お仕事ナビの会員向けに「現役企業人事と知財人材専門転職エージェントが語る!これからの知財人材における転職を活用したキャリア設計と、人事視点による書類選考・面接対策」がウェビナー形式で開催されました。
1.講師紹介
今回の講師を務めるのは、株式会社知財塾取締役の冨松大介。システムエンジニアとして社会人のキャリアをスタートさせてのち、様々な業界・職種を経験したうえで、人事領域へ。アイペットホールディングス、ビズリーチ株式会社、paiza株式会社での人事を軸にしたキャリアを積む傍ら、株式会社知財塾の取締役を務めています。
2.最近の転職動向
まずは、日本国内の状況把握から。「ものを作れば売れる」で成長してきた日本の経済が、少子高齢化・急激な人口減少の影響で購買者が減少。ものを作っても従来のように量が売れないが、ものの価格を下げると賃金が上がらない。富松は各国の経済力を測る指数であるビッグマック指数を例に出し、日本は先進国であるにもかかわらず、実質賃金が低いことを示唆します。
労働生産性や時価総額を取ってみても、国際的に日本の立ち位置は低いことが示されています。ではどうすれば個々人の賃金を上げることができるのか。その解は、自分を「安く売る」のではなく「高く売る」。そのためには、高く売れるだけの付加価値がなければ賃金は上がりません。冨松は個々人の付加価値を上げる活動をしていく必要性を説きました。
付加価値を上げるためのキーワードは「専門特化」「副業・兼業」「転職」。これらのキーワードの足し算や掛け算が必要で、これは知財業界に限らず、どの業界でもどの職種でも、大なり小なり当てはまるポイントです。
3. 知財人材の転職ケーススタディ
ここで、株式会社知財塾のキャリアエージェント(CA)である岡本が登壇。これまで知財お仕事ナビを利用して転職された人材のケースを取り上げながら、転職を成功に導くための解像度を上げていきます。
比較的年齢の高い候補者で、転職市場において一定のハードルがあるような状況でも、年収を大幅に上げる転職に成功されたケースや、未経験ながら知財業界に挑戦したケースを取り上げ、なぜ年齢のハードルを払拭できたのか、未経験のポテンシャルを企業側に買ってもらえたのかなど、実例を岡本が説明し、冨松がその背景や理由を深掘りするパネルディスカッションが展開されました。
岡本は最近、採用する企業・事務所側から「センス」という言葉を聞くことがあるそうです。この「センス」をもう少し深掘りすると、文章のセンス、論理的な記述ができるか、面接での対応力、論理的思考を持ったコミュニケーション能力など。これらを備えた人材は、採用に繋がりやすいとのこと。
そのような力があることを伝えるためには、まず履歴書・職務経歴書が企業・事務所との最初の接点です。何が得意か、どう得意か、読み手がイメージできる文章を書く、明瞭・簡潔な文章構成に書くべき内容が網羅されていることは大事と冨松。岡本も、書き手の自分が経験しているからわかっていて省略したり、また逆に書きすぎたりするのは、読み手の集中力が欠けてしまうと注意喚起します。
書類は当日の面接などと異なり、時間的な制約なくしっかり準備ができるので、読み手側の視点に立って書くことは大事なポイントになりそうですね。
4. 面接官が面接で見るポイント
ここからは、現在も企業の人事職として活躍する冨松が、人材を採用する面接官側の視点で、求職者への具体的なアドバイスを伝えていきました。
履歴書・職務経歴書:相手に「この人がほしい」と思われることを書く
面接官は限られた時間で書類に目を通すため、短い時間の中でどう伝えるかを考えながら書くのが良いと冨松はアドバイスします。
履歴書・職務経歴書:志望動機に時間をかけない
書類ではどんな人材かを見るので、これまでの履歴、在籍期間、成果、担当領域などを重点的に見る。端的にわかるか、綺麗に整理されているかが重要です。
面接:質問に対する回答になっているか、抽象と具体を意識した回答か
経歴や成果を中心に質問される面接は、質問に対する回答内容もさることながら、プロセス(論理的思考ができているか)も評価にとっては重要なポイントであると冨松。ここはスキルで身につけられるので、日頃から鍛えていくのが良いとのことでした。
面接:自身の強み、弱みを正確に把握しているか
自分の強み、弱みを把握しているか不安な人に対し、米国ギャラップ社の開発したオンライン才能診断ツール「ストレングスファインダー」を使ってみる提案がなされました。
5.CA活用のススメ
転職活動にあたり、どのようにCAを活用していくのが良いのかの提案も。CAは常に転職市場に触れており、どんな企業がどんな人材を求めているか、転職でキャリアチェンジに成功した後の人材のキャリアの情報も豊富に持っています。
今すぐに転職を考えていないとしても、今後の自分のキャリアを想像する上で、壁打ち相手として活用するのは良い方法ではないでしょうか。
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6.質疑応答
最後は質疑応答。セミナー受講者から多数の質問が寄せられ、冨松・岡本に加え、株式会社知財塾社長の上池からコメントがなされました。いくつかの質問を抜粋してお伝えします。
Q:企業の知的財産部で出願権利化業務に従事しており、事務所への転職を考えています。企業での経験は事務所への転職において、評価されるでしょうか。
A:一定程度評価されると考えます。ただ、事務所での主業務は明細書作成業務になる可能性が高いので、これまで積んだ経験をどのように生かしたいか、これからどのような経験を積んでいきたいか、キャリアビジョンをお聞かせいただきながら転職活動をサポートさせていただければと思います(岡本)
Q: 試用期間でクビになることはありますか?
A:事例として多くはないと考えます。業務の成果で解雇を判断される事例はさらに少ないですが、勤怠不良、無断欠勤などは事例の一つになりえます。とはいえ、日本の法制度においてはよほどのことがない限り解雇は難しいのが実情かと思います(冨松)
Q:面接でスキル不足を挙げられてしまいます。どのような対応ができますか?
A:スキルをアピールすべきというよりは、企業が求めるレベルとご自身の考えているレベルにミスマッチが起こっているのかなと(冨松)
求人の中でも特にどういったポイントを企業に求めたいのか、その中で自分が発揮できるパフォーマンスがどの部分かを理解して、進めていくことが大事です(岡本)
今アピールすべきと思っているポイントの他に、アピールポイントがないかを考えてみるのも良いかもしれません(冨松)
この辺りはエージェントが価値提案できる部分なので、ぜひ活用してください!(上池)
1時間という短い時間ながら、内容の詰まったセミナーとなりました。視聴者からのご質問も多く寄せられ、知財業界への転職に高い関心が寄せられていることがよくわかりました。
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