なぜ「知財戦略」は目的化するのか?~ビジネスモデルから問い直す、これからの企業知財 【バンダイ・BANDAI SPIRITS 知財部門インタビュー】
公開日: 2026-04-30

目まぐるしく変化する現代において、知財の価値やニーズは、ひと昔前から大きく様変わりしています。こうした時代の潮流の中で、今求められている“企業の知財戦略”とはどういったものなのでしょうか。
本記事では、エンタメの知財業界内で活躍するバンダイ・BANDAI SPIRITSの岡崎高之さんと、『図解 研究開発のための知財戦略』の著者である玉利泰成さんによるスペシャル対談を通じて、企業内の知財専門家としての視点から、これからの“企業の知財戦略”を多角的に紐解いていきます。
★バンダイ知財部門では、現在、一緒に新しい知財活動を開拓していくメンバーを募集中です。ご興味がある方は下記もご確認ください!
【東京都台東区】株式会社バンダイ/特許・意匠担当/知財戦略担当(模倣品対策業務含む)

岡崎 高之(おかざき たかゆき)さん
[プロフィール]
株式会社バンダイ・株式会社BANDAI SPIRITS
法務・知的財産部 デピュティゼネラルマネージャー
弁理士
事業部での企画・開発経験後、法務・知的財産部へ。
現在は株式会社バンダイと株式会社BANDAI SPIRITSの知財業務を統括。

玉利 泰成(たまり やすなり)さん
[プロフィール]
株式会社Polyuse BizDev知財戦略マネージャー
株式会社知財の楽校 代表取締役社長
株式会社知財塾 社外取締役
2026年2月に『図解 研究開発のための知財戦略』を出版。
【目次】
1.『知財戦略』という言葉に潜む罠~どうして知財は目的化してしまうのか?
-ビジネスモデルを土台にすれば、「知財戦略」が回る
- 知財に「意味」を与えるのが知財部の役割
2.企業における知財戦略のリアル~「強み」を見つけるためのバンダイの活動例
- 対話からはじまった「強み」の発見
- 最も「キャラクター」の魅力を引き出せる会社になりたい
3.これからの企業知財~既存の壁を超えて見えるもの
- 知財部門ならではの役割とは?~俯瞰的立場だからこそできること
1.『知財戦略』という言葉に潜む罠~どうして知財は目的化してしまうのか?
岡崎さん:
率直に言って、企業知財には形だけの『知財戦略』みたいな罠があると思うんですよ。
特許をはじめ知的財産権を取得するのは、専門家じゃないとできないという前提があって、専門部署が立ち上がり、最初は権利の数を増やしましょう!という取り組みがはじまる。ただ、権利の数が増えると比例してコストも増えていくのに、その権利が活きている実感は持ちづらい。
そうなると、次の段階で社内で「本当に知的財産権ってこれだけ必要なの?」という疑問が生まれてきます。そのとき、知財側の人間としては、自分のやっていることを証明するために、「戦略」という言葉に頼ってしまい、その結果、権利を取り続ける活動が続いてしまう。そんな「手段が目的化するリスク」もあるのかなと。
玉利さん:
おそらく、「ビジネスで勝つための戦略を組む」という思考ではなくて、「保有しているものに意義を持たせたい」という下心が根底にある状態で議論していると、生まれやすい状況だと思います。
岡崎さん:
「価値を持たせたい」って下心、ドキっとしますね。無いとはいえない。知財部門ですからね。
玉利さん:
知財戦略を謳うのであれば、「知財は意義があるもの」という結論に帰着させなければならないという動力が働きがちだと思うので、一旦そこはフラットに考えるべきですよね。
一方、知財の存在意義の議論では「権利がいる・いらない」といった極端な話に行きがちですけど、それも違うかなと。私は知財活動の価値は意外とプロセス部分が大きいと思ってるんです。
例えば、事業戦略をビジネスモデルに当てはめて議論する中で、技術的な優位性を検討するときに、知財という枠組みを導入して議論しないと俎上に上げにくい。自社・他社の権利分析をして、言語化することではじめてわかる「優位性」がありますよね。
つまり、“プロセス自体に知財活動の価値がある”と位置づけることで、権利という成果物が必ずしもなくても、知財活動の存在意義がある。
岡崎さん:
なるほど。私は「知的財産“権”部じゃなくて“知的財産部”」というネーミングに可能性を感じています。権利化はもちろん大事な仕事だけど、それは仕事の一部、もっと広く知財業務を捉えていいんだと。
知財部門は権利を作ったり行使するだけでなく、社内で知的財産が創出され、事業に活かされて社会に価値提供できるプロセス自体を支援できれば、もっと価値が上がって面白いんじゃないかっていうことを、社内でも話していますね。
- ビジネスモデルを土台にすれば、「知財戦略」が回る
岡崎さん:
じゃあ次に、知財部にとって自己目的化しない「知財戦略」はどう作るかという話なんですが、玉利さんの本には「知財戦略はビジネスモデルを下支えし、実効性を持たせるための手段」という言葉があって、すごく良いなと思ったんです。
この言葉は、「どうしたら知財活動に実効性を持たせられるか」という現場の視点で考えないと出てこないものだなと。
玉利さん:
そうですね、私は、知財戦略の目的は、「会社全体の事業戦略を実現すること」だと考えています。
ただ、開発部門や知財部門といった会社内の機能ピースがそれぞれに活動していくにあたり、事業戦略をそれぞれに解釈してしまい、うまく連携できない状態に陥ることがあります。
ここで、社内の機能同士をつなぐ翻訳装置として一番しっくりくるのが『ビジネスモデル』だと思っています。
岡崎さん:
事業戦略・知財戦略は「事業・知財でそれぞれの優位性を作るための活動指針」である。知財戦略は事業戦略の実現のためにあるのだけど、知財活動が事業にどう貢献するかはいまいち分かりにくく、連携が外れてしまうことがありました。
ここで出てくるビジネスモデルは、事業を通じて顧客に価値(商品・サービスなど)を提供し、収益を生み出すメカニズムである。
仕組みそのものであるビジネスモデルは、全部のピースが乗っかるゲームボードみたいに知財戦略や事業戦略の土台になるということですね。
玉利さん:
はい、これまで色々と試行錯誤してきたんですけど、研究開発やBizDev(事業開発)、経営層といった多種多様なセクションの人たちが集まって議論したときに、一番盛り上がって実行までたどり着けたのが、ビジネスモデルの議論をしていた時だったんです。
ビジネスモデルを共通言語にすると、話が進みやすいという体感がありますね。
岡崎さん:
面白いですね。事業戦略と知財戦略は違う概念だけど、ゲームボードの中に乗せれば、「ここは重なる」とか「この活動は増やしてもよさそう」みたいに配置できるということですもんね。
企業では、知財部門が「事業担当や開発担当が知財のことを理解してくれない」とか、逆に他部門の方が「知財のことはよくわからない」みたいなすれ違いが起きがちですけど、お互いの共通言語として『ビジネスモデル』をベースに話すのはすごく良いと思います。
玉利さん:
ビジネスモデルのルールは関係者全員が理解すべきことで図解もできるため、それをベースにさまざまな部門担当者が「どういう戦略を立てて、どう立ち振る舞うのか」という見方で考えると、解像度があがって噛み合わせも良くなるなと。
- 知財に「意味」を与えるのが知財部の役割
岡崎さん:
ある知財部の方が「社内の知財に関するエコシステムが正常に回るようにオーガナイズするのが知財の仕事」というお話をされていて、それは納得感があったんですよね。権利という単位にこだわりすぎず、知財を循環させるところに知財部が貢献するというコンセプトがいいなと。
“会社がどう社会に価値を提供するか(収益を上げるか)”というのはビジネスモデルで表現できますから、知財部は自社のビジネスモデルを体現するために、知財面のあらゆる活動を支援する部門であると自己定義すれば、役割も広がるかなと思います。
玉利さん:
ビジネスモデルそのものがプロセスを表現するツールだったりするじゃないですか。
例えば、売上や市場規模に対して自社知的財産権の貢献割合といった結果値で評価する手法がありますが、なかなか評価が難しい。いっそ評価の土台をビジネスモデルにして、どのプロセス部分に技術や知財が効いていて、そのプロセス部分の取引総額はどれぐらいで、どれぐらいの競争優位性がついたかというフェーズごとの分析を行ったほうが、もっと知財による業務貢献の解像度を上げられると思うんです。
岡崎さん:
そうですね。そう考えると、知財はフローなのかもしれないですね。
権利数とか固定的な数値に目がいきがちだけど、「ちゃんと回ってますか?」とか「クリエイトできてますか?」とかの活動自体にもっとフォーカスした方が、事業の強みが分かるし、仕事が楽しくなるかも。
玉利さん:
そもそも知財制度の性質は、その時点のスナップショットだけじゃなくて、未来に向けた動的なものを扱う制度だと思うんです。
だから、静的な部分だけで評価するのではなくて、動的なところもちゃんと可視化してあげて、それがどうビジネスに効いているのかっていうところを評価することで、知財の価値の本質が見えてくる気がしますね。
岡崎さん:
ビジネスモデルというマップが共通言語としてあれば、一緒に拡げながら「コレに効く知財活動をやりましょう」とか、「コレがこういった形で事業に絡んでます」という風に、お互い同じ目線で話せそうですね。
あと、戦略という言葉が抽象的だから、正当化するための戦略になってしまうというところもあるじゃないですか。私は、知財は意味を与えることが重要だと思っていているんです。自社の技術・権利が「ここでこんな風に使えますよ」という形で、自ら意味を与えることによって価値が出てくる。
このとき、今やっていることの正当化のために意味付けしちゃうと、意味付け自体が目的化してしまうので、一歩引きながらも、事業貢献とか社会の価値提供のための意味付けを、自分たちの言葉でちゃんとできるかどうかが重要だと思うんですよね。
玉利さん:
“意味付け”という言葉はすごくいいですね。
知財そのものが戦略になるというより、もともと事業や技術から知財が生まれているので、知財戦略はあくまで技術や権利に意味を持たせたり、ベクトルを合わせて組織のリソース配分に寄与させるような可視化と意味付けに妙がある、という捉え方をするのが重要だと思います。その点では、オーガナイザーとしての役割があるなと。
岡崎さん:
言語化も大事です。知財の一番得意なことは言語化力だと思うので。
知財を起点にしながら事業に役立つ強みや勝ち筋など、対話することで他部門の方から「新しい発見があった」と言ってもらえることがあり、知財部の人たちが持っている言語化スキルをもっと活かせるのではと思います。
玉利さん:
あと、知財のスキルでもう一つ長けているのがヒアリング力ですよね。
日々発明のアウトプットに迷っている技術者や発明者から発明の要素やポイントを聞き出す作業を行っていますから、まさに戦略を立てる場面でもそのヒアリング力を発揮して、戦略に意義を持たせるのに役立ちます。
岡崎さん:
「権利を取ることは未来への投資」という話がありますが、権利化するにはお金がかかるじゃないですか。そのため、知財部は「お金がかかる以上は会社に役立つものにしよう」という誠実さの中で活動しているし、ビジネスと技術の両方の観点を社内で最初に吸収して考え抜いている部門だと思うんです。
だからこそ、権利化だけじゃなくて、考え抜いて生まれた現状と未来への提言をフィードバックすることも知財部が提供できる価値であり、そこに言語化力やヒアリング力が生きてくるのではと考えています。
2.企業における知財戦略のリアル~「強み」を見つけるためのバンダイの活動例
岡崎さん:
玉利さんが今株式会社Polyuseでやられていることって、先ほど話に出たオーガナイザー(まとめ・統合役)的立場にも近いんじゃないですか?
玉利さん:
近いと思います。でも、スタートアップはそもそも部署らしい部署がないから、ちょっと特殊かも。
みんな入り乱れて事業のために活動しているから、当たり前に対話をして、当たり前に複合的な議論しているので、良い意味でカオスな状態ですね。バンダイさんぐらいの規模になると、もっと役割がかっちり分かれてきますよね。
岡崎さん:
そうですね、組織の中で役割が明確化することは、働きやすく秩序もありますが、一方で仕事にマンネリも生まれがちです。
そこでバンダイの知財部門では自分の従来のタスクをこなしつつ、部内でやりたいことを申請し、自主プロジェクトとして実行できる仕組みも用意しています。私としては、“飽きない知財部門”にしたいんですよ。
玉利さん:
すごくいいですね。自分から動くと、“仕事が面白くなる”というメリットもありますし。
岡崎さん:
与えられたタスクをこなすことももちろん大事ですが、自分でプランニングして稼働させる自律の力も大事ですよね。
事業も最初は誰かが絵を描いて、PDCAサイクル(Plan、Do、Check、Action)を回して大きくなっていった訳なので、知財でもどう循環に関わるか、さらに循環を様々な形で作ることを意識することが大事だと思います。
- 対話からはじまった「強み」の発見
岡崎さん:
弊社では、毎年いくつかの事業部門をピックアップして、課題解決のための深堀作業をしています。そこで大事になるのが“対話”で、いきなり小難しい話をしても核心には辿りつけないんですよ。
最初は「特許や商標に関する社内連絡が多すぎる」みたいな身近な課題から入り、改善しながら意見交換を続けていくと、より本質的な課題や気づきが引き出せたりするんです。
例えば、玩具をはじめエンターテイメント事業では“楽しさ”が非常に重要ですが、“楽しい”という体験を創るために様々なアプローチや、面白いと感じる源泉があります。
自社商品・サービスの魅力を事業部のメンバーと一緒に掘り下げていくと、今まで気づかなかった「強み」や価値が見えてくる。対話の中から発見したキーコンセプトから権利群を構築していく知財活動にも取り組んでいます。
玉利さん:
すごく楽しそう!知財の話をすると技術的な要素が重要という話になりがちですけど、バンダイさんは「面白さ」という体験価値にもフォーカスしているんですね。
岡崎さん:
バンダイには昔から「夢・クリエイション~楽しいときを創る企業~」という企業スローガンがあるんですが、ユーザーに「夢・遊び・感動」をどうやって届けているのか?という提供価値を掘っていくと、様々な発見があります。
「知財部に課せられたタスクはどこも一緒」という考えはあるし、権利化の作業とかは確かに一緒かもしれないけど、でもビジネスモデルは会社ごとに違うじゃないですか。
どこに優位性があって、何が魅力の原泉なのかというのは会社ごとに違うから、そこの違いを深いレベルで理解して解像度を高めていくと、知財はもっと面白くなると思います。
- 最も「キャラクター」の魅力を引き出せる会社になりたい
岡崎さん:
弊社のビジネスを俯瞰して見ると、商品化しているキャラクターの多くが自社で権利保有しておらず、外部の権利者の方から、ライセンスを受けて商品化を行うケースが多いです。
このような環境では、「お預かりするキャラクターやコンテンツの魅力を最も上手に引き出せる存在」になることが大切です。良い商品・サービスを通じてユーザーに喜んで頂き、権利者の方にも「やっぱりバンダイ・BANDAI SPIRITSに預けると良いものができる」と感じていただきたい。
そのためには商品化の技術・ノウハウを研鑽し権利化しているとともに、侵害対策にも取り組んでいます。
玉利さん:
コンテンツやキャラクターそのものの魅力に目が行きがちですけど、プロデュース部分で素材の価値を最大化するっていう視点は面白いですね。
岡崎さん:
弊社のビジネスモデルでは、「最適なタイミング」、「最適な出口」、「最適な地域」という3つの要素を通じて、キャラクターなどの「IPの価値を最大化」するという仕組みが語られています。
ビジネスモデル | 株式会社バンダイ / 株式会社BANDAI SPIRITS
ここでいう「最適な出口」とは、キャラクターIPの世界観や特性を活かした商品・サービスを指していますが、魅力ある商品・サービスを生み出す料理法を言語化・整理するのも知財の役割なのかなと思います。
玉利さん:
先ほどのヒアリング力、言語化力の話にもつながってきますね。ビジネスモデルに知財がどう役立つかがイメージできて、とても興味深いです。
岡崎さん:
企業同士の競争がある以上は、ある程度差別化できる独占権を持たなければ勝てないので、エンタメ業界に限らず、「この料理法はうちにしかない」というものを作るのは大事ですよね。
このあたりを意識すると、知財活動自体が楽しくなってくると思います。
Ⓒサンライズ
3.これからの企業知財~既存の壁を超えて見えるもの
玉利さん:
バンダイの知財戦略担当では、模倣品対策の業務にも携わっていると聞きましたが、知財戦略と模倣品対策の業務を一体化している理由はあるのでしょうか?
岡崎さん:
エンタメ業界的には現在、模倣品が課題として大きいのと、模倣品対策は権利の出口を考える活動なので、だったら権利を取るところから使うまでの過程を一体的に考えましょう、という発想から知財戦略と模倣品対策の業務を合体させた経緯がありますね。
玉利さん:
商品が市場に出たあとに模倣品が発生する状況をフィードバックして、さらに知財戦略をブラッシュアップしていくサイクルは、とても合理的だと思います。
一方で、模倣品対策は知財の一つの局面にすぎず、その結果だけをもとに権利化すればいいという単純な話ではないので、他の局面を含めた戦略的視点を組み合わせることで、相互に補完できることも興味深いですね。
実際、同じ知財でも異なる立ち位置にいる人材が交流することで、いわゆる“化学反応”的なことが起こることはあるんですか?
岡崎さん:
ありますね。模倣品はある意味分かりやすい課題なので、知財が有効な場所が明確だし、そこを起点に業務範囲を広げて考えられるようになりました。
事業部との連携はもちろん、特許チームと商標・著作権チームメンバーの間で一緒になって課題への対策を考える、という部内連携が生まれる入口にもなってますね。
玉利さん:
知財活動は抽象化しやすい性質もあるので、模倣品対策という具体的な課題解決に落とし込んで事業のリアルに向き合える機会があるというのは、良質なケーススタディになりますね。
日々の権利化業務がどういう出口に繋がるかというところに関われずに仕事をする知財部員は結構多い中で、模倣品対策という目に見える価値が出せる環境は良いと思います。
- 知財部門ならではの役割とは?~俯瞰的立場だからこそできること
岡崎さん:
書かれた『図解 研究開発のための知財戦略』の後半で、社会には“客観的な視点”がもっとあると良いという言葉がでてきますが、これは玉利さんの中で問題意識があるんですか?
玉利さん:
私は、知財は主観でも客観でもない『媒介者』みたいな性質があると思っているんです。
事業やビジネスモデルは「市場をどう作るか」という主観があって、技術や開発は「発明の価値を社会にどう届けるか」という主観があります。
そして、両者はお互いの主観を客観的にとらえている構図になります。これはどちらも重要で、この二つがかみ合わないと価値提供の最大化は叶いません。
知財はこの間に立って言語化することで、どちらの側面からも見せてあげられる役割を果たしていると思っています。
岡崎さん:
知財部門は、舞台で言うところの、脚本家とか演出家に近いのかもしれませんね。舞台上で演じているメンバー(事業部門)の横で演出しているから、そういう意味では当事者ではあるんだけど、関わり方がちょっと違う、みたいな。
役に感情移入することもあれば、役者をオーガナイズすることもあり、自ら動き回ることももちろんある。いろんな役割に憑依して視点を移動させることで最適化させる、という点では、表舞台に立っていないからこその面白さはあるかもしれない。
玉利さん:
1+1=2みたいにシンプルな話であればお互いの視点の行き来をする必要はないと思うんですけど、今の時代、意見や価値が複雑に入り乱れているじゃないですか。それこそ媒介者がいないと、あちらを立てればこちらが立たぬ的な状況に陥ったり。
だからこそ知財のプロセスで乱立する意見や価値を仲介することに意義はあると感じています。
岡崎さん:
確かに、プレイヤーだけだと迷走して崩壊しそうになるところを、知財という客観的な立場で見られる人間がいることで、バランサーの機能も果たせているというのはありますね。
これは、最初の「知財部門は、企業のビジネスモデルの中で、知的財産というエネルギーをうまく循環させるオーガナイザーになれる」という話に戻ってきましたね(笑)。
「知財活動」自体を目的化せずに、どうやって企業のビジネスモデルと紐づけるかを事業部門との対話を通じて一緒に考え、活動の幅を広げていくことで、新しい知財部門のあり方が見つけられるように思います。これまでの「知財部観」にとらわれず、みんなで考えていきたいですね。

★バンダイ知財部門(バンダイ・BANDAI SPIRITSを担当)では、現在、一緒に新しい知財活動を開拓していくメンバーを募集中です。ご興味がある方は下記もご確認ください!
【東京都台東区】株式会社バンダイ/特許・意匠担当/知財戦略担当(模倣品対策業務含む)